子供の入園や入学を機に、子育てが少し落ち着いたタイミングで「よし働こう!」とパートを探す方も多いですよね。
「扶養内で働く」とか「扶養から外れて働く」って言葉を耳にしますが、実際どういうことなんでしょうか?
この記事では「扶養内で働く」ってよく聞くけど、実際どういうことなの?という疑問を解決していきます。
そもそも扶養内で働くとは?
扶養内で働くとは、配偶者(夫や妻)や自分の親などの家族が受ける税制上の控除を失わない範囲で収入を得ることを指します。
日本では、配偶者の年収が103万円以下の場合、配偶者控除を適用でき、税負担が軽減されます。また、社会保険においても、配偶者の年収が130万円以下であれば、健康保険や年金の扶養として加入することができます。このため、多くのパート勤務者がこれらの制限内で働くことを選びます。
税金は配偶者(夫または妻)が負担するので、本人(時短勤務やパート勤務)は自己負担が少なく働けるってことですね。
子供が小さな頃は病気や怪我、小学校に行っても参観やPTA、放課後は習い事の送迎もあったり、バタバタとマルチタスクをこなす主婦には短時間のパート勤務は魅力的です。
また、親の介護などの理由で長時間働けない方も多いのでは。
「子供が幼稚園や学校に行ってる昼間だけ」とか「介護やPTAがあるから数時間だけ」とか、短時間の勤務を希望する方も多いと思います。
私の場合
私は結婚してから暫く専業主婦でした。しかし、子供が小学校3年生の頃に「子供が学校に行っている時間を活用して働きたい!」と扶養内でパートを始めました。
保育園に預けて働いている主婦も世の中多い中、のんびりしていると思われそうですが、別にセレブでもなんでもなく、理由はひとつ。
子供が学校から家に帰ってきたら「おかえりなさい!」を毎日伝えて、おやつを出して話を聞く、当時はそんな時間をいちばん大切にしたかったので。
私の住む地域は学童を利用している児童も2、3年生になると辞める子供が多い傾向でした。学童を辞めた子供は、放課後は習い事か塾に行くか、公園や友達と遊ぶか、自宅でひとりで過ごすか。
割と教育熱心な家庭が多い地域だったので、民間の学童(コミニケーションは全部英語!とか)、学童代わりに低学年から中学受験向けの塾に行く子も。
我が家も3年生からの学童利用は選択肢にはなかったので、時短パートを選びました。
当時の働き方は今でも全く後悔なく、子供との時間を優先した時短パートでよかったと思っています。今となっては掛け替えのない貴重な時間を過ごせました。
子供って本当にあっという間に成長して、あっという間に大きくなって、、手を離れていくんですよね…。
このような短時間勤務の場合には、働き損にならないように勤務時間を調整することになります。
103万の壁?130万の壁?
「103万円の壁」とか「130万円の壁」って聞きますが、具体的にはどういったことなんでしょうか。
それぞれ解説していきます。
103万円の壁とは?
配偶者が年収103万円以下であれば、税金が減るため、手取り収入が多くなります。しかし、年収が103万円を超えると、この控除が受けられなくなり、税金が増えてしまいます。
年収103万円以下で働けば、そこまで手取りが減ることはありません。
例えば年収が90万円に収まるように働いた場合、税金は引かれずそのまま90万円が収入となります。(※自治体により、住民税は年収90万円以上だったり100万円以上だったりと違いますので、お住まいの自治体HPをご確認してみてくださいね!)
しかし、金額を抑えて働くってことはあまり稼げないってことですよね。
もし、103万円以上働いたらどうでしょうか。
年収103万円~130万以内だと所得税・住民税(加入していれば雇用保険も)が引かれるので、103万円以内で働くより引かれる税金が増えます。つまり、手取りが減るんですよね。
そのため、「だったら103万円以内で働こう」となる方が多く、この制度によって働き方に制限がかかることが、問題視されています。
数十年前からずーっと「壁」の設定は変更されていないので、「103万円の壁」は1970年代から概念が同じままです。
物価も家族構成や教育費も昔と今は全然違うのに、なんだか不思議ですよね。
130万円の壁とは?
配偶者の社会保険の扶養を維持するための年収制限です。配偶者が年収130万円以下であれば、主に働いている配偶者(夫または妻)の健康保険や年金の扶養家族として登録できるので、自身で保険料を払う必要がありません。
年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険料か国民健康保険を支払う必要が出てきます。社会保険料は会社と折半ですが、国民健康保険に自分で入る場合は自己負担です。
手取り収入がぐっと減少する可能性があり、パート勤務の場合は130万円の壁をかなり意識して働く方が多いです。
年収129万円以内で働いたら配偶者の社会保険に入れますが、もし130万円を超えたら自分で勤務先の社会保険に加入するか、国民健康保険に加入する必要があります。
「130万円を一時的に超えてしまった場合でも社会保険の扶養が2年間は続く」という特例が2023年に突如ニュースになりました。年収が130万円を超えた場合でも、一時的であれば、その後2年間は社会保険の扶養に留まることができるという措置です。
ただし、この2年間の特例期間が終了した後、引き続き年収が130万円を超える場合は、社会保険の扶養から外れることになります。
この制度の利用に関しては勤務先の担当者へ確認してください。
今はこの措置を利用しても、2年後に年収130万以下になるように勤務時間を減らすのは大丈夫なのか、勤務先へ要確認したほうが良さそうですね!
パートタイム勤務で損をしないには?
損をしない年収を考えるとき、「103万円の壁」と「130万円の壁」を考慮する必要があります。
- 103万円の壁:この金額を超えると配偶者控除が受けられなくなり、税金が増えます。しかし、年収が少しだけ増えても増税分以上に収入が増えるかどうかがポイントです。
- 130万円の壁:この金額を超えると健康保険の扶養から外れ、自分で社会保険料か国民健康保険料を支払う必要があります。これにより手取りがぐっと減少します。
- 150万円の壁:この壁は所得税の基礎控除の影響を受けます。年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の金額が段階的に減ります。イコール配偶者の控除が少なくなり、税負担が増える。
つまり、年収が103万円、130万円、150万円をわずかに超える程度では損をする可能性があります。
そのため、これらを超える場合は、大きく超えること(例えば年収200万円以上など)が損を避けるための一つの戦略になります。
それによって増える収入が税金や保険料の増加分を上回る場合には、その年収が「損をしない年収」と言えます。
2024年10月から変わること
2024年10月から社会保険の適用枠が拡大します。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
年収106万円以上で条件を満たす場合に社会保険加入の対象者となりますが、従業員数の規定が、現在は「101人以上の企業」ですが、「51人以上の企業」に変更になります!(従業員のカウント方法は厚生年金保険の被保険者数です。)
例えば、従業員51人以上の企業でパート勤務していて、年収106万円で働いていたとします。
現在は配偶者の社会保険に入っていますが、2024年10月からは勤務先の社会保険へ加入するので、自身で社会保険料を負担する必要があります。
そうなると、給料の2割くらいが保険料で引かれることになります。時短勤務のお給料から2割引かれると、手取りがだいぶ少なくなりますね。
社会保険の重要性
手取りが減らないように勤務を減らして扶養内で働くのがいいのか、社会保険に自身が加入してもっと働くのか、ご家族ともよく話し合って働き方を考える必要があります。
毎月の手取りこそ減りますが、社会保険に加入するメリットもあります。厚生年金の加入や健康保険によるリスクヘッジ、将来への安心が増えるという考え方もありますよね。
いざというときに恩恵を受けられたらいいですね。
まとめ
扶養内で働く際の「103万円の壁」「130万円の壁」さらに2024年10月に変更される社会保険適用の拡大について記事にしました。
時代と共に制度もアップデートされて、みんなが働きやすい世の中になるといいですね。